第1章 終わりと始まり
崩れた家。広がる炎。
悲鳴や泣き声が鼓膜を揺らす。
『本当に巨人が…。』
認めざるおえない普段とは違う街並みに立ち止まり、目を丸くする。
「こっちだ‼早く‼」
父の声がする方向に顔を向け、走りだそうとする。
が、マリーが踏み出すことはなかった。
額をつたう汗。なびく細い髪。
両親の正面には、一体の巨人。
息を飲む。
懸命に走る父だが、伸ばされる手には勝らなかった。咄嗟にアルマを投げ落とす。
「マリー‼‼来るなぁぁ‼‼」
父の悲痛な叫びは徐々に上へと上がる。
「嫌ぁぁぁ‼‼」
母は動かない自身の足を掴み泣き叫んでいた。
バンッ‼!
突如降って来た物体。
それは赤く染まったかつて父だったはずのもの。
そこからさらに赤は広がる。