第1章 終わりと始まり
あの壁は100年間壊されていないらしいし、巨人だって話を聞くだけで見たことがない。
どうして今…。
しかし両親の真っ青な顔を見て考えは止まり、不安と恐怖が積もる。
「マリー。母さんは父さんが背負う。マリーは走りなさい。」
マリーは父のいつに無く厳しい表情にただ頷く。
「嫌よ‼あたしはいいからあなたはマリーと逃げて‼」
「君はもう兵士じゃない。妻であり、母親なんだよ?」
フリッツは柔らかく笑う。
「もうお荷物にはなりたくないの…。」アルマは俯く。
「不器用な僕には常に照らしてくれる太陽が必要なんだよ。さぁ。」
家族は開いたままだった扉から外へと飛び出す。