第3章 存在
マリーのケガもすっかり癒えた頃、調査兵団では壁外調査を間近に控えており、いつもとは違う空気が流れていた。
訓練兵達は進む兵団を決め始めており、順位の発表の日が近づいてきていた。
みんながそわそわとしている中、マリーは1人訓練場で立体起動を練習していた。あれから腕を上げ、そのスピードと力を補うための技術からマリーはリヴァイに続く逸材だと言われ始めていた。
「マリー、兵団は決めたの?もう憲兵からはオファーがあったんでしょ?すごいや。」
マリーが地面に降り立つとハンジがいた。
『ハンジさん、今みなさん忙しくされてるんじゃないんですか?』
汗を拭きながらマリーが聞く。
「まあそうだけど、これがマリーと会える最期になるかもしれないからね。顔を見たかったんだ。」
『そんなこと言わないでくださいよ…。
それと、私はもう兵団はずっと前から決めてありますよ。教えて欲しかったら帰って来てくださいね。絶対。』
マリーは笑う。
「あぁ…。首席候補がずっと思っていた兵団なんて気になるからね。帰ってくるよ。」
ハンジも頬を緩める。
「やっぱりマリーに会いに来てよかったよ。」
『ハンジさん、最初に会った時から思ってたんですけど、お母さんみたいですよね。優しくてあったかくて。』
「そうかい?そんなこと初めて言われたなぁ。そのくらい大切なんだよ。マリーのことがさ。」
2人は笑う。