第2章 選択
「君は今訓練兵になっても回りより子どもだからね。力も知識も蓄えたほうがいい。1年間は調査兵団の手伝いをしながら体を鍛えなさい。」
そっと肩をつかまれる。
「おじとしては姪には選択肢を増やして、様々なことを知ってほしいんだ。片面だけを知って満足はしてほしくはないんだよ。」
今度はその手を払うことは無かった。
まっすぐ頷く。
「よし。マリー・ヒンメル。
君に調査兵団補佐を命じる。」
その時突然扉が開いた。
「おい。エルヴィン…。」
入って来たのは黒髪で目つきの悪い男性。
マリー顔を見て眉間にシワを寄せて睨んでいる。
「ノックをしなさい。しかしちょうど良かったよ、リヴァイ。彼女は今日から兵団の補佐をしてくれるマリーだ。」
「こんなガキがか?」
シワがさらに寄った気がする。
「そういうな。人手は年中不足しているだろう。」
先ほどまで自分に向けられていた団長の温かい眼差しが、この男性にも向けられていることに気づき、この2人の間にあるモノを理解した。