第2章 選択
見せられたのは妹の指輪だった。
遺体は損傷が酷く持ち帰れた物は無いため、これが唯一のモノだろう。
「それは君のだろう。大切にしなさい。」
エルヴィンは彼女には母親の存在を感じられるモノが必要だと思っていた。
『いえ。これは団長に預かっていただきたいです。』
先ほどまでとは違った決意のこもった凛々しい顔つき。
私は理解していなかったようだ。
彼女はもう幼くなんかない。
1人の人間だ。
子どもの成長は早いと聞いたがここまでとはな。アルマ、私達が思っていたより君の娘は大人だったようだ。
エルヴィンは指輪を見つめた後、顔を上げてマリーを見つめる。