第2章 選択
廊下を歩きながら両親を思う。
私の知らない2人はここで何を思っていたのだろうか。
幸せだったのだろうか。
ふと昨日の様子が頭に浮かぶ。
私は9歳の誕生日会をするはずだった。幸せな一日になるはずだった。
そういえば、なぜお母さんは逃げる時にあんなにも必死だったのだろうか。あれは私よりもお父さんに向けられた必死さだと今改めて思う。
…お母さんはお父さんが唯一自分を必要としてくれたと言った。
昔の2人を知りたい。
何を思い、どう命と戦っていたのか。
グーっとお腹の虫が鳴く。
少女は一歩一歩と来た道を戻る。
その瞳には決意が宿っていた。
時同じく、少女が出てきた部屋からもため息が一つ。
「なるほど。エルヴィンが心配するのも無理ないや。あの子…アルマにそっくりじゃないか。」