第2章 選択
「……話しなんだが。マリー。君には選択してもらわなければならない。」
?
「簡潔に言おう。ここで兵士となって心臓を捧げるか、養子縁組を決めてマリー・ヒンメルを捨てるかだ。」
再び団長の顔をしたおじちゃんが肩を掴んで言う。
手の力が痛いほど伝わってきて、胸が締めつけられる。
『兵士さんになったら…おじちゃん一緒にいてくれる?』
おじちゃんといられるなら、自分がどこに行こうがどうなろうがよかった。
…なのに。
「いや。どちらを選んでも一緒にいることはない。君が兵士を選ぶならば私は一兵士の命を預かる団長になる。勿論私の姪という事は伏せる。特別扱いをして団の士気が下がるようなことはしたくない。それに君のためにもならないからね。」
「…養子縁組を望むならマリー・ヒンメルという人物は捨ててくれ。私は嫌われ者でね。私の弱みと思われると君の命が危ない。だから君には過去を消してもらう。」