第2章 選択
「マリー。馬車に乗ろう。」
エルヴィンが声をかけるが返事がない。
寝てしまったのか……。
マリーをそっと降ろし馬車に乗せる。この子はここに来るまでに何を見てしまったのだろうか。
少女のまだ幼い寝顔を見て胸が痛む。
妹と義理の弟の死亡は報告に上がっていた。しかしマリーの居場所だけが中々掴むことが出来ず、重たい憲兵の腰を上げることにも時間がかかってしまった。
その所為でまたマリーに辛い思いをさせてしまったのか。2年ぶりの再会が泣き顔とはな…。
小さな手をそっと握り、エルヴィンは肘をついて窓の外を眺めた。