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【ONE PIECE】海賊王と天竜人の娘は誰も愛せない

第2章 *




そんな風に思いながら、さらに十年。
表面上を装って、明るい娘として街に働きに出ている。
美しかった母の容姿を受け継いだおかげで、尽きることなく、ひっきりなしに異性から告白やプロポーズをされて…とても困っているけれど。

それなりに明るく、楽しい日々。
この島を訪れる観光客や海賊、口説いてくる男もいて疲れることも多いけれど、この街の人たちは優しい。十歳で母を失くしたわたしを心配してくれているらしい。

でもそれは、私の両親のことを知らないから。
知ってしまえば最後。この島を出なければいけない。

今のところは何ひとつバレることなく生活できているけれど、生前のゴールド・ロジャーの身近にいて彼をよく知っている人物、深い関わりをもつ人物が現れたその時は、強く警戒しなさいと…あわよくば逃げなさいと、生前の母に言われている。

私の容姿は、母にそっくり。
だけど、ゴールド・ロジャーをよく知る者から見ればバレる可能性がかなり高いほど、私は父親にも似ているらしい。母いわく、私から醸し出ている雰囲気が。
醸し出ている、と言われても…無意識というか、本来の姿であって偽ってもいないのにどうしろというの。
それから、少し癖のある黒髪。でもこれは世界中どこにでもいる髪だし、気にする事はない。
ただ、…再三言うけれどゴールド・ロジャーをよく知る者、彼らには一目瞭然で私の雰囲気と、髪で、すべてバレてしまうだろう、と。



…そんなの、警戒のしようが無いじゃない。
ゴールド・ロジャーをよく知る人物なんて私、誰ひとり知らないし。

働き始めて数年たつレストランのカウンター越しにしつこい、見るからに年下の男に口説かれながら、そんなことを考える。

「お姉さんほんっと可愛い。ね、お願い、ちょっとでいいからどっか散歩いかないっ?」
「仕事中ですので…」
「仕事終わりでもいいからさ!も〜目とかすっげぇ綺麗だし髪だって柔らかそう、彼氏いないんでしょ?いいじゃんちょっとくらいさぁ〜」

悩みの種である容姿を褒められたところで全く嬉しくないんだけど…どうしようか。しつこすぎてイライラしてきた。イケメンなわけでもないのによくナンパなんて自信が湧くわね。
店長呼んで追い出してもらおうかな…と目の前の男にバレないように苦笑いのままため息を吐いていると。

「ずいぶん口説き方がなってないな、坊主」


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