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【ONE PIECE】海賊王と天竜人の娘は誰も愛せない

第1章 





マリージョアに戻って、三週間と少し。
マリージョアを出る前に決まった天竜人との婚約の話は、下界から戻ってきたわたしの精神状態が落ち着くまで一旦保留ということで、なんとも静かな時間が過ぎていた。

とは言っても、わたしは至極、落ち着いている。
何者かに誘拐されて酷い扱いを受け、恐怖を植えつけられたわけでもないし。何も覚えていない、と言ったせいか記憶を失くしていると思われているけれど、そんなこともない。

ただ、息苦しい。
自由を感じられない籠の中の生活に逆戻りして、天竜人たちが嫌う下界から戻ってきたということもあって、肩身が狭いような気がしてならない。

それから、最近少し、体調が悪いくらい。

微熱。ほんの少しの倦怠感。強弱の波があるけれど吐き気と、ときどき襲ってくる嘔吐。
食欲がわかず、シェフがお粥を作ってくれるけれど、なんだかご飯の香りが吐き気をもよおしてしまって、せっかく作ってくれたお粥も喉を通らない。
マリージョアに戻ってきたという、精神的なストレスからくる体調不良だと思っていた。

あまりにも続くその症状に心配した父と、顔を青くした母がわたしの元へ医師を連れてきて、診察してもらい……



診断結果に、母と同様わたしも顔を青くした。



『……う、嘘だと、言ってください』
『…申し訳ありませんが、…検査を何度いたしましても、この結果が覆ることはないかと』
『…そん、そんな、…お願いします、もう一度っ』
『誰の子アマス』
『っ…!』

母の、聞いたことのないような冷たい声に、背筋が凍りついた。
ベッドのそばにたたずむ医師も、わたしが下界から戻ってきたことを知りながら体調管理をしてくれていた医師であるため、状況を理解していることもあり額に汗を滲ませながら固唾をのんでいる。



医師の診断結果は、妊娠。
わたしのお腹の中に、小さな命が宿っていると言う。



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