第17章 芸能界 第9話
アクアside
俺にはアイみたいな、
レンみたいな才能が無い
視線を釘付けにするようなオーラが無い
演技が上手い訳じゃない
だから使えるものは全部使う
小道具
カメラ
照明
役者
全部使ってでも
<お前と俺達とは違う…>
アイみたいに…
レンみたいになってやる
「お前、傍で顔見るとブスだなぁ
パソコンで加工しないとこんなもんか」((ボソ
「………は??
なんつったオメェ!!」((ガッ
「お」
「!!」
『アクア…っ』
「…」((ニヤ
<聞こえなかったか!?
そんな女守る価値無いって言ったんだ!!>
「あのガキ…
台本も立ち位置もアドリブ挟んで…」
「止めなくて良い
2カメで彼を追って、照明も少し強めに」
<この子は--俺の大事な友達だ!!>
ここは原作の名シーン
演出意図
構図
テンポ
全部に意味がある
昔から作者の気持ちを考えろって問題が得意だった
名作を正しく汲めば及第点は取れる
ほら
<殺されても守る!!>
場を作ったぞ
やりたかったんだろ
本気でやってみろよ
有馬かな
このシーンの一番の見せ場はヒロインの涙
<何をしたって無駄だ…>
『光』その1点が輝くように
<諦めて流されろよ!!>
俺が『闇』を演出する
怖く
キモく
<お前なんて誰にも必要とされてない
身の程わきまえて生きろよ、
夢見てんじゃねぇよ
この先もろくな事はない
お前の人生は真っ暗闇だ>
仕上げだ
有馬かなが上手く泣いてくれれば--
<それでも光はあるから>
そういや得意技だったな
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「悪い…
拳当たっちまったよな、リキっちまって…」
「謝らなくていいよ
わざと当たりにいっただけだから」
「えっ」
「やっぱ演技は感情がノッてなんぼだよな
いい芝居だったよ
おかげで有馬も本気出せたんじゃないか??」
『お疲れ様、アクア』
「ん…」((ポス
流石に疲れたからレンの肩に額を置いた
『ほっぺ大丈夫??
メルトくんに思っきり殴られてたけど…』((ソッ
「後で手当してくれ
有馬の為とはいえ、流石に痛い」
『…やっぱりアクアは凄いね
かっこよかったよ』
「…滅茶苦茶キモくやったつもりなんだが??」