第16章 芸能界 第8話
アクアside
『私、この後のアクアの演技知ってる
でも私が知ってるのは漫画でな訳で…
生のアクアが演技してる所見るの楽しみなんだ
だから、頑張ってね』((ニパ
そう言って俺にいつもの笑顔を向けてくる
その笑顔を見てると不思議と頑張れる気がするんだ
「ああ」
まぁその前に…
鏑木勝也…星野アイとなんらかの関係があった男…
俺とルビーの血縁上の父親で
アイの死に関わったかもしれない男
隙を見てDNA鑑定に回せるものを回収しないとな
「今の人がこの現場の責任者
あの人の意見が監督やDを通して現場に伝わる
モデル事務所との繋がりが強い人でね
今回のキャスティングは殆ど彼の仕事
とにかく顔面至上主義の人でね
アクアを使って貰えたのもその辺よ」
「リハ始めまーす」
「行くわよ」
『行ってらっしゃいっ』
「台本は頭に叩き込んでるわよね」
俺の役はヒロインに付きまとうストーカーの役
なんの因果だろうな…
アイを殺したストーカーを俺が演じる事になるんだから
「はい、スタッ!!」
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((ポツ
「一旦止めまーす」
「ちょつとココ雨漏りあるな」
「そしたらこのカット
ドリーの速度上げて…」
「普通に演技出来てるじゃん何が裏方希望よ」
「こんなの練習すれば誰にでも出来る
他の人の邪魔をしない程度に下手じゃないだけで
僕自身に何の魅力もない」
あの日、有馬かなが見た俺の演技はあくまで
年齢と中身のギャップが引き起こした異質感だ
精神年齢に肉体が追いついた今となっては
俺はどこにでも居るただの役者
「なんか凄い演技を求めてたなら悪いな」
「そんな事…まぁちっとも期待してなかったと
言えば嘘になるけどじゅーぶん」
『2人とも良い演技だったよ!!やっぱり凄いなぁ…
アクアなんてずっと努力してた人の演技だもん』