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傍にいる[推しの子]

第6章 幼少期 第6話



-数年前とあるカフェ-

「スカウトって言うから何かと思えば
アイドル??私が??笑っちゃう話だね」

抹茶ラテの餌に釣られて
突然声を掛けてきたおじさんの
話を聞いてあげる事になったけど

「今、うちの事務所で中学生モデル達で
ユニットを組もうとしてる所でな

君ならセンターも狙えると思う」

その人はアイドルのスカウトだった

「興味無いです」

「いや絶対向いてる、保証する」

「…やめといた方が良いと思うよ
私、施設の子だし私…片親なんだけど
小さい頃お母さん窃盗で捕まっちゃって
その間施設に預けられて
でもお母さん釈放されても
迎えに来てくれなかったんだぁ」

ちょっと脅かせばスカウトさんに
お引き取り頂けると思った

「まぁ良いんだけどね
殴られるより施設の方がましに思えるし
人を愛した記憶も愛された記憶も無いんだ
そんな人にアイドルなんて出来ないでしょ」

私の抱いてるアイドルのイメージって
笑顔を振りまいて皆を笑顔にする
純粋な存在…

嘘吐きで人嫌いの私とは真逆
到底向いてないと思ったから

「こんな私はきっとファンを
愛せないしファンからも愛されないよ」

「良いんじゃねぇの
そもそも普通の人間に向いてる
仕事じゃないし
そういう経歴も個性じゃん??」

「…で、でもアイドルって
皆愛してるぞーとか言うじゃん
私が言ったら嘘に…」

「嘘で良いんだよ
むしろ客は綺麗な嘘を求めてる
嘘を吐けるのも才能だ
良いじゃねぇか、こいてけこいてけ」

「…良いの??
嘘でも愛してるなんて言って良いの??」

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