第6章 幼少期 第6話
「色々言ってはいるけど本当は君も人を
愛したいって思ってるんじゃないか??
やり方が分からないだけで
その対象が見つからないだけで
可愛く歌って踊っていれば
それだけでファンに対する愛情表現だ
アイドルになれば愛してるなんて言葉は
歌詞の中に幾らでも入ってる
それに…皆愛してるって言ってる内に
嘘が本当になるかもしれん」
嘘が本当に
その言葉を聞いて私は
アイドルになる事を決めた
私は誰かを愛したい
愛する対象が欲しかった
アイドルになればファンを愛せると思った
心の底から愛してるって言ってみたくて
愛してるって嘘を振りまいてきた
母親になれば子供を愛せると思った
私はまだ子供達に愛してるって
言った事がない
その言葉を口にした時
もしそれが嘘だと気付いてしまったら…
そう思うと怖いから
だから私は今日も嘘を吐く
嘘が本当になる事を願って
その代償がいつか訪れるとしても