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傍にいる[推しの子]

第4章 幼少期 第4話



「そうなのかレン」

『うん、かなちゃんは凄い子役なんだよっ』

「私この子あんま好きじゃないのよねー…
なんか作り物っぽくて生理的に無理」

「たまに子役に対して異様にキビシー
奴っているよな、なんでなん??」

「知ってるわよ
レンはともかくあなたコネの子でしょ!!
本読みの段階じゃ貴方もアイドルの子の
出番も無かったのに…
監督のゴリ押しってママも言ってた!!
そういうのいけない事なんだから!!」

「いやそういう訳じゃ…」

「こないだ監督が撮ったドラマ見たけど
全然出番無かったじゃん
どうせカットしなきゃいけないほど
へったくそな演技したんでしょ
媚び売るのだけは上手みたいだけど!!

ADさんかなのかばん持って!!」

「ええっと、ちょっと待ってねぇ…」

『…かなちゃん…』

「お兄ちゃん」

「分かってる相手はガキだ…
殺しはしない…」

思わぬ先輩子役に俺は勿論の事、
アイの事までボロクソに言われルビーも
腹が立ったのだろう殺気を感じた瞬間だった

時間が経ち撮影場所に移動した
俺とレン、そして先輩子役の有馬かな
役者から見て左から有馬かな、俺、レンの
順で並んでの撮影が始まった

映画のあらすじをざっくり言うと
自分の容姿にとことん自信の無い女が
なぜか山奥にある怪しい病院で
整形を受ける…って話

僕らはその村の入口で出会う
気味の悪い子供達

「ようこそおきゃくさん、かんげいします…
どうぞゆっくりしていってください…」

さすがに天才子役、演技が上手い
同じ事しても実力差で
目も当てられない事になるな
ズブの素人でもそれくらい分かる

ならどうする??
普通に考えれば気味の悪い子供の
演技をすればいい…

けど求められてるのは
それだけじゃないよな…
「監督が欲しい画」はきっと…

「この村に民宿は1つしかありません…
1度チェックインしてから村を
散策すると良いでしょう」

この台本は急遽追加された部分
俺の事を知ってから
監督が加筆した当て書きだ
その意図を汲むなら…
むしろ演じないでいい

演出の意図に忠実に応えれば十分
言葉にはしなかったけど
監督が言いたいのはつまり…
「演じなくてもお前は十分気味が悪い」

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