第24章 恋愛リアリティーショー 第1話
<この番組に2人出てくれたらアイの事務所も
知らないディープな裏話をしてあげるよ
それこそアイの男性関係の話とか>
レンも一緒にって言う条件が正直気に
食わないが巻き込んだのは紛れもない
俺だからそこはフォローしないと…
とにかくこなすしかない
鏑木Pからアイの情報を引き出す為
それは俺達の父親を捜す為のヒントになるはずだ
「でぇ猫がぁ」
MEMちょが何か言っているが
そんなのはどうでもいい
とりあえずこの番組の撮影の流れはこうだ
<皆さんには各々自由に
会話していただいて構いません
ただ定点のカメラのアングルにだけ
気を付けてください
カメラマンが寄った時には出来たらで良いんで
その時してたやり取りを要約した会話を
して頂けると助かります>
恋愛リアリティーショーの歴史も20年になり
ある程度のノウハウが蓄積されている
番組としてのエンタメ性を担保しつつ
各々の個性に任せたリアリティの演出方法
「あの…ディレクター
こんな感じで良いんでしょうか??」
「あー最初はこんなで良いと思うよ
まぁ次回少し距離詰めた感じで話して貰えると
こっちとしては助かるけどねぇ
視聴者もドキドキしたいわけだし」
「なるほど…」
黒川あかねがディレクターに
自分の演出は大丈夫かと聞いているが
正直、聞いたところでどうにもならない
「本当にこういう番組って台本ないんだね
どんな話して良いか全然分からない」
「分かる〜」
鷲見ゆきが言うように
リアリティーショーに台本はない
だが演出はある
ディレクターの話をアドバイスと取るか
指示と取るか、それは人それぞれ
「あたし臆病でガシガシ前に行けないし
あんまりトーク得意じゃないし
きっと埋もれるんだろうなぁ」
「…なんで君はこの仕事受けたの??」
「うちの事務所の看板の人が仕事断らない主義でね
事務所に来た仕事全部持っていくから…
私年中ヒマでさぁなんか足掻きたくて
そんな時に鏑木さんが…」
「ああ」
「渡り船にって言うか、私恋愛とか今まで
してこなかったから恋人とか作った事ないし」
「嘘だぁ」
「やだな嘘じゃないよ、私まだ高1だよ??
タレントが皆が皆恋愛してると思ったら大間違い
君は恋愛に興味ないの??」