第15章 聡明で腹黒い王子様
あんな話しを、全て信じてくれてるって?話半分くらいでもいいのに。
「その話しって?」
「また、いつかな。その内、話してもいい。」
「なら、マーフィスの気が向くまで待ってるよ。」
本当に二人は仲が良さそうだ。
「そろそろ私は帰るとするよ。残念だけどね。」
「分かった。それじゃ、また連絡くれ。」
こんな話しを聞いた後で、ルーヴィン王太子に会うのは怖い。それに、婚約者だった令嬢は公爵家だった。そんな高位の令嬢を自害させる企みって・・・。
「多分・・・ミアは、幼い頃から聡明だったのだろうな。無意識に出た話題が前世のものだったとすれば、俺なら間違いなく面白いと思うしあの王太子も面白いと思ったのかもしれない。ディンバーもミアを気に入っていた様に。」
「全然、覚えてない・・・どんな話しをしたかなんて。ただ・・・お兄様は、ある時から私を蔑む様になったの。」
「気にするな。言っただろ?結果は何も変わらない。だから、ミアは・・・。」
「マーフィス?」
マーフィスは空飛ぶ絨毯を出して、私たちは空に浮かんだ。
「どうかしたの?」
「本当に想像以上に、執着していたみたいだな。監視の目が多い。」
「えっ?どういうこと?」
マーフィスが下を指さし、私は絨毯から見下ろした。すると、何人もの住人が空を見上げていた。
「あの人たちは?」
「俺たちに付けられた監視だ。頭数揃えたら何とかなると思っている辺り、残念だけどな。しかし・・・こんなにコケにされたディンバーはさぞ、お怒りだろうな。自分の庭で他人が大はしゃぎしているんだから。あ、言っている傍から・・・。」
下では、大捕り物となっていた。自国の兵の方が圧倒的に有利で、騒がしさは直ぐに収まった。
「腹黒さではディンバーは負けてないから、今後が見物だな。ってことで、ミア話しがある。」
マーフィスは王都を出て、少し離れた森へと降り立った。
「ここは?」
「ディンバーが用意してくれている、安全な場所だ。」
マーフィスは家を出すと、中へと入って行った。
「それで、話しって?」
「媚薬、飲んでくれないか?」
その意味を分からない訳はなかった。そして、それに伴い今の状況が良くない事も身に染みて理解した。王族は、生娘しか伴侶として認められない。それは、どの国でも同じだ。