第15章 聡明で腹黒い王子様
「以前、言っただろ?俺との婚姻は結ばれたって。」
「あ、そう言えば・・・。じゃあ、サーファスさんが?」
「国王に掛け合ってくれたと思う。幾ら王太子が有能でも、国王を抜きにして好き勝手は出来ないだろうからな。ただ、その最速でその様なことを行動するサーファスさんは、相変わらず有能過ぎるとは思うけど。」
「いつか会った時、お礼を言いたい。」
「そうだな。」
全てが、サーファスさんのお陰だ。ただ、王太子がこの国に来た時、何も起こらないという事はないかもしれない。きっと、何か企んで・・・。
そんな事を考えていると、ドアをノックする音がした。ディンバー王太子の執事が、新しい情報を持って来た。
「お亡くなりになったそうです。」
「亡くなった?失脚ではなくか?」
「はい。潔く、自決されたと聞いております。」
「分かった。」
話しの内容からして、話題に上がったルーヴィン王太子の婚約者のことだろう。ディンバー王太子は、何やら考え込んでいる。
「気の毒に・・・。」
「そうだな。でも、相手が本気だということが分かった。」
その本気のルーヴィン王太子は、予想以上にこの国に早く到着した。二人が口にした言葉に、私はゾッとした。
「ルーヴィン王太子は、直ぐに俺たちを追って来たのだろうな。目障りな弟を断罪した後、ミアを正式に手に入れる為に。」
確かに、あの第二王子と比べれば人格者だとは思っていた。でも、王族の人間だ。身内にすら容赦ない断罪。どうして、私にそこまで?
「あ、あの・・・ひょっとして、ルーヴィン王太子は・・・。」
「あの頭の弱い令嬢と弟王子が出会う切っ掛けを作ったのは、故意かもしれないな。」
「出会う切っ掛け?それは・・・。」
「マーフィス、何も言ってなかったの?」
「結果は同じだからな。」
「マーフィスは知ってたの?ルーヴィン王太子が・・・。」
だから、私と出会った時に知っていたから・・・。
「あぁ、マーフィスの名誉の為に言っておくけど、最近だよ?その情報を得たのは。」
「そ、そうですか。私・・・同情でマーフィスが・・・。」
「ミアは、覇気はないのに目はキラキラしてたからな。人生に辟易してんのに、あの目は何なんだって思ったよ。そんなミアを見て、面白いって思った。あの時に聞いた話し、俺は全て信じてる。誰もが突拍子も無い事だと言って信じなくともな。」