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特級錬金術師の旦那様

第15章 聡明で腹黒い王子様


「ごめんな。」

マーフィスがポツリと呟いた。マーフィスは、きっと何もなければこのまま私の気持ちが固まるまで待ってくれるつもりだったのだろう。

「じゃあ、直ぐにでも。」
「えっ?直ぐって。」
「決心なんて待ってたらいつになるか分からないもの。でもね・・・マーフィスだから。」
「俺だから?」
「十分、マーフィスの気持ちは理解してるからそんな申し訳無さそうな顔しないでいいよ。ただ・・・一つだけお願いがあるの。私を・・・絶対に手放さないで欲しい。」
「ミアっ・・・勿論だ。俺の嫁はミアだけだからな。」


その頃の王城。

「ディンバー様、ルーヴィン王太子が王都に入られるそうです。」
「本当に何事においても容赦なくて、迅速で・・・でも、愚かだよね。私はマーフィスの敵に回る者は、全て私にとっても敵だというのに。」
「始末しますか?」
「魅力的な話しだけど、止めておくよ。息の根を止めるのは、いつでも遣れるだろうから。それに・・・あの綺麗な顔を歪ませるのを見たいと思うから。」
「歪みますかね?」
「歪む筈だよ。マーフィスは私の意図を理解しているだろうから、それを不意にするとは思わない。それに・・・私をコケにした報いを受けさせなければならないからね。」

そう言って薄く笑うディンバー。

「宜しかったのですか?ミア様のこと。」
「リスクが大きすぎる。マーフィスだけでも手に余るのに、サーファスが控えているから。そうだな・・・いっそ、何処かの令嬢でも紹介して貰おうかな。顔は広いからね。」
「ディンバー様・・・。」
「これでも、本当に恩義を感じているんだよ。だから、マーフィスの敵に回ることはしない。その代わり、手助けはして貰おうと思う。」
「尻尾を出しますかね?」
「問題ないよ、喜ばしいことにマーフィスは私を友人として認めてくれている。マーフィスは庇護する相手には甘いから。代わりに・・・裏切ったら容赦ないけど。」
「・・・そうでしたね。私も、ご友人で良かったと思います。では、マーフィス様にお願い致しましょう。」
「うん。さぞ、大きな尻尾を掴んで来てくれると思うよ。楽しみだね、下と思っているだろう相手に容赦ない断罪を出来る時が。」

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