第15章 聡明で腹黒い王子様
安易に死にかけた発言。そんな重要な事を聞いても良かったのだろうか?マーフィスは魔法鞄から一本の青い色をした液体が入った小瓶を取り出し、王太子に差し出した。
「これで最後だ。」
「ありがとう。恩にきるよ。」
つい、ジッとその小瓶を見てしまっていた私。
「これは、解毒剤だよ。」
「えっ、解毒剤?解毒って・・・。」
「従兄弟に毒を盛られてね。これでも、本当に死に掛けていたんだ。それを救ってくれたのが、たまたまこの王都に来ていたマーフィス。」
「あの・・・そんな重要なお話し、聞いても良かったのですか?」
「キミは、マーフィスの身内だから。そうでなくても、キミのことは知ってたよ。勿体ないと思ってたんだよね。あんな無能の婚約者より、隣国とは言え王太子の私の方がってマーフィスの前で言うことじゃないか。」
どうやら、私の存在は知られていたらしい。それに、元婚約者を無能発言。
「でも、あの頭の弱い女性もマーフィスを追っている様だし、元婚約者は兄王子に処分されたよ。実の兄弟でも、容赦なかった。」
兄王子って、第一王子のことだよね?そんな人だったの?普段は、人当たり良くて優しそうな人だと思ってたのに。
「ルーヴィン王太子は、私と同じ人種だと思うよ。マーフィスは、ルーヴィン王太子のこと話してはいない様だね。」
「結果は変わらないからな。」
「マーフィスにこんな事を言わせるなんて、本当に惜しい事をしたよ。あ、今何かしようとは思ってないよ。それは心配しないで。私は大事な友人を失くしたくはないからね。」
「何処まで来てるんだ?」
「国境付近らしいよ。この国の訪問の名目は、私の快気祝いの為らしいけれど。それともう一つ。そのご一行様の中に、頭の弱い御令嬢が紛れているみたいだ。知ってて糾弾しないという事は、ウチに入ってから処分するつもりかも。」
何それ、処分って。ルーヴィン王太子は、弟であるルヴィリア王子を誑し込んだマルチアのことをどうするつもりだろう?
「まぁ、あの国はルーヴィン王太子がいる限り心配はないよ。良かったよね、国王陛下も。それと最後にキミの家族のことだけど。」
私は体が跳ねた。
「お咎めは今のところないよ。だって、断罪してしまったら、自分の伴侶とする時に面倒なことになるから。だから、一部の領地の没収と賠償金を命じたくらい。」