第2章 調味料と光る球
マーフィスの言葉に、思わず泣きそうになった。
「笑えって言ってんのに、泣きそうな顔をする奴があるか。全く、そんな顔されたら放っておけなくなるだろ。まぁ・・・今まで制限された生活を送って来たんだ。でも、大丈夫だ。俺がいつでも胸を貸してやるから安心しろ。」
ハグをしては、背中を撫でてくれる。思わず泣いてしまったのは、甘やかしてくれるからだと思いたい。
暫くマーフィスの胸を借りてから、調味料作りを再開。油や卵など必要なものを搔き集めては作り上げたマヨネーズ。それをマーフィスが用意してくれた硝子で作られた容器に入れた。
「うん、これで登録完了。」
「登録?」
「この硝子の容器は錬金術で作ったものだ。中身を登録すれば、使ってもまた自動で補充される。」
色々と説明されたけれど、私には全然理解出来なかった。でも、自動で補充されるのならありがたい。それだけが分かっただけでもいいと言ってくれた。
「ねぇ、この容器って作るの難しいんだよね?だって、こんなに凄いものなんだから。」
「嫌、幾つかあるけど?他の何かに使いたいものでもあるのか?足りなかったら材料集めれば作ることは可能だ。」
「で、でも・・・そんな凄いものを、調味料入れになんて使うのはちょっと。」
「何で?俺は面白くていいと思うけど。他にも遣りたいことがあるのなら、遠慮なんかしないで言えよ?」
と言う訳で、今後、色々と試してみることにした。醤油も味噌もソースもタレも色々と試したい。
昼食の時間になり、私はマーフィスに代って野菜とハムのマヨ炒めを作った。季節の野菜を幾つか用意して貰っての炒め物だ。
「へぇっ、慣れたものだな。お嬢様なのに。これも、前世の記憶があるからなのか。」
「そうだね。味見してみる?」
アスパラを一つ摘まんでは、マーフィスの口元に持っていく。躊躇なく口の中に収めたマーフィス。
「んっ、美味い。それしか言えないけど、本当に美味い。」
でも、固いパンだけはどうにもならない。そして、他の調味料も作りたい。だけど、何よりも今は酵母菌作りだ。日にちは掛かるけど・・・えっ?時間を勧められる機材がある?
喜び勇んでいると、他の機材のことも教えてくれた。触ってはいけないものもあるので、それはしっかりと釘を刺される。
「ねぇ、マーフィス。外に出てもいい?」
「魔物がいるから一人はダメ。」