第2章 調味料と光る球
魔物の事を聞いて、ゾクリと背中に嫌な汗が流れる。そうか、この世界には魔物が存在するんだった。
「マーフィスと一緒なら大丈夫?」
「錬金術師は自分で材料集めもやらないといけないから、冒険者登録しているヤツも多い。因みに俺はAクラス。」
「Fクラスから始まって、E・C・・・Aって凄くない?」
「ミアは凄いが口癖だな。でも、悪い気はしない。」
「錬金術師としては?」
「特級貰って卒業した。」
「特級って・・・国管理とかの存在なんじゃないの?」
「望めばな。俺は権力に興味無い。自由に生きたい。まぁ、たまに師匠の手伝いはさせられるけど。」
マーフィスの師匠は、錬金術師が多く住んでいる町で生活しているのだと聞いた。この国に来た理由も、師匠が望む材料を得る為。
「それで魔物の集団を・・・。」
「そう、ついでだった。でも、最初は面倒だと思ってたけど、今は来て良かったと思う。」
「どうして?」
「ミアと出会えたからに決まってんだろ。ひょっとして、師匠はこの出会いを分かっていたのかもな。案外抜け目のない人だし。いつか紹介しないとな。俺の親代わりの人だから。じゃあ、外に行くか。その前に。」
私の手を取り、一つの指輪を人差し指に嵌められた。
「これは?」
「守りの加護が付与された指輪。絶対に手放さない様にな?」
「うん。ありがとう。大切にする。」
「本当、ミアって素直で可愛いな。」
「も、もうっ、揶揄わないでよ。」
「何で?俺の本心だけど。俺って上辺だけの言葉って嫌いだから。いいだろ?亭主が嫁を可愛いって言っても。ほら、行くぞ。」
扉を開ければ、日の光が差し込んだ湖が見えた。
「綺麗・・・。あ、ひょっとして材料ってこの湖で取れる何かなの?って、ど、どうして服を脱ぐの?」
「ちょっと潜って来る。ここで待ってて。指輪は外さない様にな?じゃ、行って来る。」
戸惑う私をその場に残し、勢いよく飛び込んだマーフィス。私は暫く茫然としたまま。
「錬金術師って、皆がこんな野生児なの?」
つい零れた言葉は、仕方ないと思う。それから数分が経ち、十分が過ぎ・・・不安で泣きそうになった頃、要約、水面に上がって来たマーフィス。
私は思わずマーフィスに駆け寄り抱き付いた。面を食らった顔をしたマーフィス。
「・・・心配したんだから。」
その時になって、マーフィスはゴメンと言った。