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特級錬金術師の旦那様

第13章 冒険者の町


貴族はマーフィスを見て、ズカズカと近づいて来た。そして、直ぐ傍でマーフィスの顔を値踏みしている。

「お前・・・綺麗な顔をしているな。連れている女も悪くない。ウチで・・・。」

アレ?貴族が目を見開いて、何かを見ている。見上げれば、マーフィスは特級錬金術師の証を掲げていた。

「ウチでの続きは何だ?」
「あ、イヤ・・・。」
「大人しく領地で引っ込んでろって・・・言われなかったか?」

それはそれは、ドスの聞いた声がマーフィスから発せられた。余程怖かったのか、その場にへたり込んだ貴族の男。

「それに、お前・・・今、何って言った?俺の嫁に悪くない?そう聞こえたが?ギルマス、奥の部屋を借りたい。こいつとたっぷり話したいことがあるからな。」
「あぁ、構わない。」
「ミア、その三人と待っていてくれ。ギルマス、頼んだ。」

マーフィスは首根っこを掴んでは、奥の部屋に貴族の男と消えて行った。

「あの、ミアと言ったか。本当にマーフィスの嫁なのか?」
「はい。」
「そ、そうか。あのマーフィスがな・・・。ちょっと気難しいヤツだが、どうか愛想尽かさずに傍に居てやってくれ。くれぐれも、くれぐれも頼む。」

また、念入りに頼まれた。それに、気難しいって言ってる。三人を見れば、この後断頭台にでも上がる様な顔色の無さをしている。

「ねぇ、貴方達。さっきの人が、貴方達を虐めた相手なの?」

三人は、力なく頷いた。前世なら、まだ中学生くらいの歳だ。そんな相手に・・・。

「大丈夫よ、マーフィスがボコボコにしてくれるから。ねぇ、まだお腹すいてるでしょ?そこに座って。」

私はマーフィスから宛がわれた魔法鞄から、三人にコッペパンにミルククリームを挟んだクリームパンを差し出した。

「食べなさい。子供はたくさん食べて、大きくならなきゃ。遠慮は無しよ?あ、拒否したらマーフィスがお冠になっちゃうかも。」

余程、怖ったのだろう。三人は直ぐに手に取って、齧り付いて固まった。どうかしたのだろうか?

「あ、口に合わなかった?えっ?な、泣くくらい嫌だった?ど、どうしよ・・・アレ?」

コッペパンは、直ぐに無くなった。気に入らなかった訳ではなかったらしい。一先ず良かった。

「なぁ、ミア。今のパンは何だ?」
「ミルクパンです。マーフィスも好きなんですよ。」
「ミルクパンって・・・何だ?」


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