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特級錬金術師の旦那様

第13章 冒険者の町


何やら、マーフィスは考え込んでいる。そこへ、新たに現れたのは初心者の冒険者だった。十代前半の三人組で、誰もが痩せ細っている。それに伴い、ヒソヒソと噂をする声が聞こえて来た。

「正義感翳して、貴族には向かうからこんな目に合うんだよ。バカな奴らだ。」

あ、マーフィスが席を立った。私の頭を撫でてから、その三人組に声を掛けては私たちがいる席に誘った。最初は躊躇していた三人も、申し訳無さそうに席に付いた。

マーフィスは三人分の注文をすると、何処からか偽善者がと言う声が聞こえた。そんな言葉、マーフィスも私も気にしない。でも、三人は違っていた様だ。

「施しなら止めてください。」
「情報料としての対価だ。」
「情報料?俺たちには、金になる様な情報なんて・・・。」
「この町にいる、貴族の名を教えろ。」

誰もの顔色が変わる。

「そ、それは・・・。」
「お前・・・俺の言う事が聞けないのか?」

えっ、ここで威圧?震えあがった三人は、口々に声を上げた。

「「「ゲジアーン子爵ですっ!!」」」

また、面白い名前第二弾だ。そして、マーフィスは悪い笑みを浮かべていた。それを見た三人は、血の気が引いている。そこへ料理が運ばれて来た。三人の生唾を飲む音が聞こえる。でも、恐々とマーフィスの顔色を伺っている様だった。

「あのボンクラ子爵か。分かった。確かに情報は貰った。食べろ。遠慮なんかしたら、痛い目に合わすからな。」

三人は涙目になりながら、何度も頷いている。そして、顔を見合わせて料理に手を付けた。手を付けたら、食べ切るのは早かった。食べ終わった後、三人は泣いていた。久しぶりの食事だったのだろう。

「マーフィス、知ってる人なの?」
「あぁ、昔ちょっとな。まさか、この町に流れて来てたとは思ってみなかったが。さて、食べたな?お前ら、もうひと働きして貰うぞ。付いて来い。」

私の手を引いて前を歩くマーフィス。その後ろをトボトボと付いて来る三人。向かった先は、冒険ギルドだった。冒険者の誰もが、三人の姿に気付きヒソヒソ噂している。全く以って、不愉快である。

丁度、奥から不機嫌そうな声と共に成金っぽい人が出て来た。どう見ても、貴族である。その直ぐ後ろから、厳つい男性も出てきた。

「ギルマス、久ぶり。俺だよ。」
「お前・・・。」



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