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特級錬金術師の旦那様

第13章 冒険者の町


赤毛と聞いて、前世の赤毛を想像していた。でも、実際の色は完熟したトマト色だ。そして、少しすばしっこい。更に言うと、好戦的だ。悲鳴に近い声を出しつつ、私は杖を振り回した。

ポコン・・・気の抜けた音がする。そして、ズタ袋が出て来ては明記されていたのは【トリニク(中)】だった。ちょっと嬉しい。その後も、マーフィスと洞窟内を歩いていく。

「ねぇ、マーフィス。次の階はまた違う毛並みのニワトリが出るの?」
「嫌、次はブタだな。」
「へっ?」
「因みに、ニワトリの上の毛並みは黒だ。そして、特は金色だな。それらは、五層にしかいない。」

ブタと聞いて、またしても想像する。実際に目の当たりにして、ちょっと怯みそうになった。サイズは、子牛並みだった。カラーは愛らしいピンク色である。でも・・・ブタの蹄は、とても鋭い。そして、体当たりなんかされたら吹っ飛びそうだ。

でも、咄嗟に振り下げた杖の効果音は、変わらずポコンという気の抜ける音。そして、【ブタニク(下)】が出た。そうか、ここは初心者対応だ。油断はしちゃダメだけど、何とか頑張れば・・・。

三層の半ばまで進んだ頃、光る円型の場所があった。マーフィスは、それが転移型の魔法陣だと教えてくれた。

「今日はここまでにしよう。疲れただろう?」

そう、控え目に言っても満身創痍である。前世の感覚が抜けないので、精神的にも疲労が溜まっていた。

魔法陣で外に出れば、そのまま冒険ギルドへと向かった。そこで行ったのは、肉類の買い取り。そして、何故かマーフィスは肉のクエストを受けていた。

ニワトリやブタニクの買い取りをして貰った結果、そのお金をマーフィスは私に渡してくれた。

「ミアが稼いだものだ。」
「えっ、いいの?」
「あぁ、ミアのものだ。」
「ありがとう、嬉しい。」

初めて稼いだ私のお金。ギュッと握り締める。

「腹減ったから、何か食べに行くか。」
「うん。」

その結果、私はこの世界の洗礼を受けることになった。そう言えば、そうだったね。薄~い塩味に油が浮いたポソポソしたトリニクとクズ野菜っぽい煮込みと、固いパンが並んでいる。

「無理しなくていいぞ、ミア。」
「残すなんて勿体ないこと出来ないよ。」
「嫌、だが・・・以前はここまで酷くなかったんだが。」
「えっ?どういうこと?」
「野菜はこの町では、豊富に近隣の森で収穫出来るんだ。」
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