第13章 冒険者の町
次に訪れた町は、初心者の冒険者が多い町【カルゴール】。
町の中に足を踏み入れれば、確かに十代前半の子供たちがあちこちで目にすることになった。そして、お約束の冒険ギルドに二人で仲良く出向いた。
ここの受付は嬢ではなく、美男子の人たち。何故か、年若い冒険者の男の子たちでさえ顔を赤くしている。その内の一人が、マーフィスに気付き声を掛けて来た。
アレ・・・想像と違う。こんな美男子なのに、どうしてこんなダンディないい声をしているのだろう。ちょっとミスマッチだ。
「アンバー、久しぶり。」
「マーフィスは・・・ん?仕事中だったのか?」
「違う。嫁貰ったから、紹介しておきたくてな。ギルマスいるか?」
「嫁?えっ、そ、そうか。あぁ、ギルマスなら居るにはいるんだが今は来客中だ。」
「そうか。あ、いつもの空き地頼む。」
アンバーは手続きをしてくれ、また出直すと言ったマーフィスと共に空き地へと向かった。
「この町の近くに、魔物が沸く洞窟があるんだ。ミアも行ってみるか?」
「・・・えっ?」
「そんな怖がらなくても、初心者対応の洞窟だからミアでも問題ない。俺もいるから心配ねぇよ。」
「も、目的は何?」
「肉だな。」
「ま、魔物を食べるってこと?」
拒否したい。でも、拒否出来なかった。
翌朝、へっぴり腰の私を連れてマーフィスは洞窟に入った。私に身分証が出来た事で、これで色んなところに行けるとマーフィスは喜んでいた。
今の私の頭の中は、スライムやゴブリンなどの存在。しかし、やってきたのは・・・ニワトリ。ただ、嘴は想像より鋭い。
マーフィスから借りた杖で、泣きそうになりながら私に向かって来たニワトリを叩いた。ポコンと、想像とは違った可愛い効果音がする。そして、ニワトリは消え煙と共にズタ袋が現れた。ズタ袋には、ご丁寧に【トリニク(下)】と明記されている。
「マ、マーフィス・・・これは?」
「見ての通り、トリニクが入ってる。ミアの記念すべき一回目のドロップ品だな。」
「下ってことは、上のランクがあるってこと?」
「あぁ、そうだ。」
ギルドでは、初心者が受けるクエストの一つとなっているらしい。ちょっと可哀想な気がするけれど、洞窟を進むにつれ慣れて来た。
「ここは全部で五層の洞窟だ。次もニワトリが出るが、毛並みが違ったのが出てくる。白毛より赤毛の方がすばしっこいからな。」