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特級錬金術師の旦那様

第11章 湖畔の町


「この町は、魚介類が有名なんだね。」
「あぁ、そうだ。全てが、あの湖で得られたものだ。何か欲しいものがあるなら、遠慮なく言えよ?」
「ありがとう。」

私は店に並ぶ商品に目を走らせる。現在、手元には一般的な調味料が完備されている。私の頑張りもあるけれど、マーフィスが作ったガラス容器に登録してからは同じ苦労はない。

「あ、あのキラキラしたものは何?」
「あぁ、あれは貝殻の内側にある膜を剥がしたものを、金属に張り付けたものだ。工芸品として有名だ。あの膜には魔力があるから、金属とも馴染みがいいんだ。装飾としても防具としても使われている。」
「へぇっ・・・綺麗だけど・・・。」

私は腕にあるブレスレットに目を向けた。うん、こっちの方が私は好きかも。

「そうだな・・・久しぶりに俺も作ってみるか。」
「えっ?作る?」
「昔、課題の一つでピアスを作った時があったんだ。何よりも、あの貝殻を収穫する事が大変なんだけどな。この湖にはこの季節に大量発生する、魚の魔物がいるし。」
「へっ?魚の魔物?あ、だから船旅を止めたの?」
「あぁ、アイツら水の中から飛んでくるから厄介なんだよ。集団行動するから余計にな。」

前世のトビウオ的なものだろうか?

「それに、アイツらの牙がもっと厄介なんだよな。噛まれたら体が痺れるんだ。」

何気なく話してくれるマーフィスだけど、今の私の顔色は真っ青になっていたのかもしれない。

「あ・・・悪い。怖がらせたな。でも、俺がいるから問題ないからな?あ、アレが実物だ。」

マーフィスが指さした先には、店頭に並ぶ思ったより大きいサイズの怖い顔をした魚が並んでいた。そして、牙は想像よりも大きい。

「た、食べるの?」
「あんな見た目だけど、意外に味はいいんだ。食べてみるか?多分、どこかに串焼きとかあったと思う。」
「ううん。遠慮します。」

あんな牙も目も大きい魚を食べたら、私の何かが削れそうな気がする。ごめん、食わず嫌いで。

「あ、あの貝が売ってる。ちょっと寄っていいか?」
「貝?えっ・・・。」

二枚貝を想像していた私。その想像は、実物を見て気持ちが萎えた。あわびの貝殻の見た目に、あわびの代わりにカラフルなウミウシ的なものがセットとなっている。おまけに、ウネウネと触手付きだ。

「マ、マーフィス・・・本当にアレを買うの?貝殻以外はどうするの?」




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