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特級錬金術師の旦那様

第9章 アリオン宅と媚薬


その女の子の中でも、私の相手には執拗に執着した理由は分からない。しかし、どんな理由があったとしても、私は許せないし許すつもりもない。

浮気した且つての恋人たちにも、同じ気持ちを抱いているし都合のいい女扱いされる謂れはない。

フト、マーフィスに目を向けると、私をジッと見ていた。そんなマーフィスの手が伸びてきて、私の頭を撫でる。

「錬金術師は、愛妻家が多いと言っただろ?一度興味を持てば、死ぬまで執着する。逆に言えば、興味のないものには等しく関心がない。だから、ミアは俺に愛されて笑っていればいい。」
「うん、ありがとう。」
「って、また何で泣きそうになってんだよ。言っておくが、俺が必要だと思うのはミアだけだからな。他に好きな男が出来ても、どんな手段を使ってでもミアを手離すつもりはないぞ。肝に銘じておけよ。」

少々、乱暴な口調だけど私を想っての言葉なのが伺える。

「・・・だよね。だったら、いつか再会した時、一発くらい殴ったって罰は当たらないよね。」
「ミアが殴る必要はないだろ。この手が傷つくのは嫌だ。だから、代わりに俺が一発とは言わずに完膚なきまでに痛め付けるから安心しろ。錬金術師は錬金術師なりの戦い方があるからな。」

不敵に笑うマーフィス。そう言えば、魔物が王都に攻めて来ていた時の対処の仕方ってどうだったのだろう?

「ねぇ、マーフィス。魔物が大量発生した時は、どうやって退治したの?」
「爆弾を魔物の群れの中に投げた。威力ある爆弾だったから、燃えたり凍りついたりと様々だったな。」
「その爆弾もマーフィスが作ったの?」
「あぁ、そうだ。採掘する為に、幾つか手元にあったからな。その材料費と手間賃くらいは賄ってくれたから、恩賞までは必要ないと思ってたんだ。」

もし、国王様が恩賞のゴリ押しをしなければ、今こんな風にマーフィスとは居られなかった。

「あの時、ミアと会ってなければ、国王に挨拶だけして王都を出るつもりだった。元々、あまり一つの場所に留まる事はしてこなかったから。」
「どうして?」
「俺だけじゃない。腕のいい錬金術師を囲おうとするヤツらは、どの国でもいたからな。」

利用しようと考える人が、何処の国でもいたと言うことか。それに、マーフィスの容姿なら、言い寄ろうとする女性も多かっただろう。こんなに綺麗な顔をしているもの。

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