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特級錬金術師の旦那様

第8章 依頼


「気遣ってくれてありがとう。マーフィスが言ってくれた様に、無理はしないよ。私が出来る範囲で遣れることをするだけだから。」

マーフィスにとって、懐に入れるまでの審査は厳しいのだろう。でも、入れてしまえばこんな風に甘やかしてくれる。

「そう言えば、依頼をギルド長から受けることにしたんだ。」
「依頼ってどんな?」
「薬の材料の採取だ。最近、近辺の森では採取出来ないみたいでな、更に奥地へ行かないといけないそうだ。」
「危険じゃないの?」
「安全とは言えない。ランクの低い冒険者は、絶対に立ち入らないところだからな。でも、錬金術師の仲間数人で行くから問題ない。」
「一人じゃないのなら・・・。」
「でも、心配か?」

頷くと、マーフィスに頭を撫でられた。

「ありがとうな、心配してくれて。七日ほど家を空けるから、この家の中で窮屈な思いをさせるが待っててくれるか?」
「うん。」
「誰が訪ねて来ても、絶対に外へ出るなよ。例え火を点けられても、心配ないから。約束してくれ。」
「うん、約束する。」

マーフィスはホッとした顔をした。

「ねぇ、マーフィス。薬の材料をこんなに急いで採取するってことは、何らかの病気が流行ってるの?」
「・・・ミアは鋭いな。俺たちが立ち寄らなかったあの町で、流行している病気があるそうだ。さっきのヤツも、その事で俺に材料を求めに来たんだろう。今頃、何処かでノビてるだろうが。」

私たちは立ち寄らなかったから、その病気を知ることがなかった。運が良かったのだろう。数年に一度、色んなところで流行る風邪のような病気。そして、毎回少なくはない人が亡くなっている。

そしてギルド長から、もう一つの情報。その奥地に最近、オオカミの魔獣の群れが住み着いた。しかし、この事はマーフィスはミアには言わなかった。

この日の夜。

食パンを焼いた。マーフィスに持たせる携帯食を作る為に。マーフィスが持つ魔法鞄は、錬金術師の粋を集めていて時間が経過しない。

明日から七日会えない。サンドイッチを大量に作った後、マーフィスにくっついて甘えていた。ハッキリ言って寂しい。七日もの間、一人でいるのは初めてだ。

翌朝、マーフィスが家の周りに突風を張り巡らせた。そう、家は台風の目的存在となっている。これで誰も近寄れないなんていい笑顔で言うマーフィス。

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