第7章 結婚指輪という武器
男の方は冒険者っぽい人に見えたけど、マーフィスがそういうのなら問題ないのだろう。ただ、薬師の・・・。
「ねぇ、あの女の人は知り合い?」
「あぁ、たまに仕事で関わりのあるヤツだ。でも、今後は一切関わりを持たないから他人と言っていい。」
「マーフィスがそう言うのなら問題ないわね。それより、このままでいいの?」
「俺が自ら鉄槌を下すことなら、何も問題ない。今から、サクッとヤッてくる。ミアは少し待っててくれ。」
マントを翻し、倒れている三人のウチの男の頭を鷲掴みした。先日の様に、骨が軋む音が聞こえる。傷みでジタバタする男だったけれど、誰も助けようとはしない。遠巻きで見ているだけ。
「アハハ、マーフィスを怒らせた様だねぇ。懲りないヤツらだよ。まぁ、僕は面白いからいいけど。」
純粋と言っていいか分からないけど、声を上げて笑っている同世代のマントを羽織って男の人が現れた。
「初めまして、僕は錬金術師のアリオン。君がマーフィスのお嫁さんなんだね。その指輪とキミの纏う魔力で理解したよ。よろしくね?」
「は、初めまして。ミアと言います。」
「仲間内からマーフィスが結婚したって聞いた時は驚いたけど、やっと唯一が出来た様で良かったって思ってたんだ。」
人懐っこく笑顔を見せるアリオンは、錬金術師だと言った。この人は愛妻家か恐妻家か、どちらなんだろう?
「アリオンっ!!ここにいたのね。探したわ。」
「ごめん、探させてしまって。マーフィスが来てるって聞いたから。あ、僕の可愛い奥さんを紹介するよ。ヨキアって言うんだ。夫婦共によろしくね?」
「ミアです。」
「ヨキアです。」
ヨキアと言う女性は、思った以上に年上に見える。でも、仲がいい様で微笑ましい。うん、アリオンは愛妻家だ。
「仲がいいんですね。」
「ヨキアは僕の可愛い子猫ちゃんだから。」
「アリオン、恥ずかしいわ。子猫ちゃんだなんて。」
あぁ、本当に仲がいい。歳が離れていようが、そんなのはどうでもいい事だ。
「久しぶりだな、アリオン。それにヨキア。」
「久しぶり。お仕置きは終わったの?」
「あぁ、気が済んだ。ミア、アリオンは錬金術の兄弟子なんだ。俺の二つ上で同じく特級錬金術師なんだ。」
「時間があるなら、ウチにも寄ってよ。持て成すからさ。」
お招きされて、後日お邪魔させて貰うことになった。