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特級錬金術師の旦那様

第6章 貴族令嬢の思惑


マーフィスの帰りを、リビングで待っていた。一時間程して、玄関の扉が開いた。

「ただいま、ミア。心配掛けたな。」
「お帰りなさい。ねぇ、さっきの人たちは誰だったの?」
「宝石を欲していた貴族だった。ギルドに事の顛末を話して来た。錬金術師からの援助が今後一切受けられない事もな。」

私はその意味をピンとは来なかったけれど、少しだけ苦々しさが残った表情のマーフィスを見て問い掛けた。

「私は・・・私は、マーフィスの望む自由の中に含まれていると思っていいんだよね?」
「当たり前だろ。」
「ごめんね、こんな質問して。」
「俺は何があってもミアを捨てたりしないから。」
「マーフィスが行くところに私も連れてって。一人にしないで。そう望む事は、やって望んでいい事なんだよね?」
「勿論だ。そんな心配は不要だと思うくらい、傍にいる。その内、家族が増えるかもしれないしな。」
「家族が増える?それって・・・ひょっとして、新しい嫁を娶るってこと?」
「何でそうなるんだ。俺たちの子供に決まってんだろ。」
「こ、こ、こ、子供っ!!?」
「その内にな。たくさん作ろうな?何人でも養えるから問題ないからな。」

そういう事じゃないと思う。でも・・・。

「良かった・・・特級錬金術師が一夫多妻制じゃなくて。」
「俺の知り合いは、愛妻家が結構多いんだ。まぁ、他の何割かは恐妻家がいるけど。ついでに言うと、子供は多い。楽しみだな?」
「・・・アハハ。そ、そうね。」

マーフィスの楽しみはどういう意味で?

「マーフィス?」
「うん?」
「貴族って面倒だけど、本当に大丈夫なんだよね?」
「今頃、戦々恐々している頃だろうな。ま、どうでもいい。さ、朝食取ったら直ぐにでも・・・って、また来客みたいだな。ミアも行くか?」
「うん。」

マーフィスが差し伸べた手を握り締めては、玄関へと向かった。来客はギルド長その人だった。

「面倒掛けたな。」
「そうですね。」
「直ぐに国からも書簡がウチに届いた。マーフィスは、その内容を尊重するのか?」
「不愉快だったけど、ギルドまでどうにかしようなどとは思ってない。でも、暫くは嫁と旅行でも楽しむつもりだ。」
「そうか。ゆっくり旅を楽しんで来いよ。その内、ひょっこりこの町にも顔を出してくれ。それじゃ、またな。」
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