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特級錬金術師の旦那様

第3章 鉱山の町と細工


「それで満足されると困る。」
「どうして?」
「夫婦になったんだから、その証としての結婚指輪は必要不可欠だろ。」
「って、まさか・・・鉱山に行くのって。」
「この町では、結婚指輪の宝石は男が採掘に行くって習わしがあるんだ。ダイヤモンドは必須として、他にも幾つか手に入れて来るから。俺の手で宝石手に入れて俺の手で細工して、ミアのこの手を彩れるなら本望だ。」
「鉱山って、危険じゃないの?」

マーフィスは少し笑って、私の肩を抱き寄せた。

「俺の心配するのはミアだけだな。」
「そんなことないでしょ。」
「あるよ。こういう宝石が欲しいとか、大きい宝石が欲しいとかそんな言葉は散々聞いてきたからな。」
「私は心配するわよ。だって、ふ、夫婦でしょ?」
「自分で夫婦って言っておいて、その真っ赤な顔。ホント、可愛いのな。ありがとな。まぁ、でもだ。このマントがあれば大抵の危険は防げる。それに、約束しただろ?必ず、ミアの元に帰って来るって。」

そうは言っても、鉱山なんて私には未知なる場所。

「信じてるからね?」
「あぁ。大船に乗っていい。」

夜も更け、まだ緊張する寝室。基本はカラッとしたマーフィスだから、普段はそう思わないのだけど。ラフな格好でベッドに横になっているマーフィスはハッキリ言って目に毒だ。本当に無駄に格好いい。

「また、そこで突っ立ってる。あんまりそう真っ赤になって、俺を見られるのは悪い気はしないけど。ホラ、何もしないからここに座れ。」

空いたベッドの場所を叩くマーフィス。

「う、うん。」

縮こまったままベッドに座ると、腰に腕を回され引き寄せられた。私の視界に入って来たマーフィスの顔。黄金色の瞳が私を見ている。

「あ~、心拍数がまた爆上がりだな。う~ん、いっそ抱いてしまった方が荒療治かもしれないが早く俺に慣れるかなぁ?って言うか・・・ミアはどう?」
「ど、ど、どうって?」
「俺の身体、興味ある?結構いい体してるとは思うんだけど。あ、触ってみるか?ほら、俺の胸とか腹筋好みか?」

マーフィスに手を掴まれ、胸や腹筋を堪能・・・嫌、撫で回させられた。確かに、引き締まって鍛えているのが服越しでも分かる。

「どうだ?」
「えっ?どうって・・・。」
「分かりにくいか。じゃあ・・・。」

私は意識を手離しそうになった。だって、人肌を手に感じることになったから。

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