第3章 鉱山の町と細工
「マ、マ、マーフィス・・・手に体温が。体温がっ。」
「ん?そりゃあ、俺も生きてるから体温あるだろ。それより、このまま俺に抱かれるか?」
「えっ?あ、灯りが・・・。」
薄暗くなった部屋に、極度の緊張感が走る。
「ミアって、たまに俺のこと男だってこと忘れてるだろ。」
「そ、それは・・・。」
忘れてないとは言い難い。だって、普段のマーフィスは気安い態度だからだ。仲のいい男友達みたいな感じなのだ。
「ミアは恥ずかしがり屋だから自分の口では言えないだろ?」
「何を?」
「俺に抱いてって。それに、俺としても男の俺から誘いたいしな。」
「マーフィスは、私の身体に興味ある・・・の?」
「無い訳ないだろ。あの時に見たミアの身体、綺麗だったからな。あの時に手を出さなかった俺を誉めて欲しいくらいだ。」
あの時とは言うのは、ドレスから着替えさせた時のことを言っているのだろう。
「それに、ミアの口から夫婦だって言葉も聞けたし。俺としては嬉しかった。」
「マーフィス・・・。」
「ってことで、ちゃんと俺が男だって意識してくれな?あんなこと言ったけど、約束は守るから。俺はミアだから欲しいって思ったんだからさ。」
「マーフィスっ・・・。」
「それと、明日はこの家の中で過ごしててくれ。誰が来ても、相手しなくていい。約束してくれ。」
「分かった。約束する。」
額に触れるマーフィスの唇。
「おやすみ。ミア。」
「えっ、そこ?」
「ん?あ、そうか。仕切り直しな。」
私は勇気を出した。具体的な言葉は恥ずかしくて言えないけれど、唇へのキスを望んでしまったんだ。
そして、マーフィスは唇だけではなく両頬にもキスした。
「おやすみなさい、マーフィス。」
「おやすみ。」
って、こんな桃色感たっぷりの空気の中、寝られそうにない。マーフィスは私を抱き寄せたまま寝ようとしているけれど。
「相変わらずの激しい心拍数だな。でも、離してやらないから諦めろ。可愛いミアが悪いんだからな。」
えっ?マーフィスの言っている意味が分からない。
「頑張って俺の腕の中を慣れてくれ。折角の、ミアだけの特等席なんだからな。」
笑ってる。きっと、揶揄っているのだろう。でも、私だけってその特別感は・・・悔しいけど、嬉しい。