第21章 その後の私たち
私が少し可笑しくなっていたのには理由がある。それもこれも、近所に引っ越して来た女の子が原因だ。隙あらば、私のマーフィスに取り入ろうとして来る。
「ミア?」
マーフィスの優しい声と、指先が私の髪を撫でる。
「考え事か?」
「マーフィス・・・私・・・。」
突然ポロポロと涙を流し出した私を、慌てた様に抱き締めてくれるマーフィス。
「ミア?」
「私のこと、好き?」
「好きだよ。愛してる。」
「うん、知ってる。私も大好き。知ってると思うけど。」
「あぁ、知ってる。それで、どうかした?何があった?」
「ヤキモチ妬いてしまうの。マーフィスのことは信用してる。でもね・・・妬いちゃうんだよ。」
「それって・・・あの女のせいか?」
頷くと、マーフィスは分かったと言った。
「元々考えていたし、材料は揃ったから頃合いか。」
「どういうこと?」
「もっと広いところに引っ越そう。家族も更に増やすつもりだし。」
「えっ?増やす?」
「こんなに愛い合ってんのに、子が三人だけで終わる訳ないだろ?俺はミアを愛しているし、もっとミアと愛し合いたいんだ。だから、間違いなく家族は増えるし増やすつもり。俺が欲しいのはミアだけ。それだけは忘れるな。ミアが不安だったり心を痛ませた時は俺に全部言え。俺が何とかする。愛する嫁を悲しませるものは全て俺がこの手で排除する。」
久しぶりのマーフィスの瞳孔が開いた目。
「マーフィス・・・大好き。」
「俺も。だから、もっと家族作ろうな?」
それはちょっと違う・・・でも、瞳孔が開いたマーフィスには言えなかった。
ただ、マーフィスの行動力は迅速だった。
私は茫然とするだけ・・・。
「あの・・・マーフィス?ここの敷地は・・・。」
「少し前に買っておいたんだ。それに、久しぶりに錬金術師として仕事をした。」
「どんな?」
マーフィスは久しぶりに、あの家の鍵を使った。だが、現れたのは見覚えのある家では無かった。私は驚いたまま見上げた。
「これ・・・。」
「増築した。まだ家族が増えるからな。」
マーフィスは、私に後どれくらい家族を増やさせるつもりなのだろう?家は四階建てだった。広さも大きさもまさかのサイズ感。アパートみたいだ。
「アリオンも増築したんだぞ。」
アリオン家も家族が増えるらしい。