第21章 その後の私たち
「サーファスさんは、そういう方面は興味ないの?」
「恋人ならいるぞ?」
「えっ・・・恋人?どんな人?美人?可愛い人?あ、才女?」
マーフィスはそっと目を伏せた。
「その・・・渋い年上の・・・男性だ。」
「はっ?えっ?」
「ダンディの塊みたいな男性だ。」
「えっと・・・うん、双方が幸せなら問題ないよ。」
「そ、そうだな。ただな・・・あんな見た目のダンディな人なのに、受けなんだよな。」
「えっ?」
「サーファスさんって、Sっ気の塊の人だもんな。ま、でも、双方が幸せならいいよな。うん。」
あははは、と乾いた笑いをしていたマーフィス。
「そう言えば思い出したんだけど・・・サーファスさんて、以前、マーフィスの師匠が私とのこと喜んでいたって言ってなかった?」
「信じてなかったんだろ。サーファスさんが言ってたことを。口先だけでそう言ったんだろうな。」
「そう・・・。」
「俺は何よりも自由になりたかった。その上、可愛い嫁まで出来たんだ。後悔する事なんて何一つないからな?」
「うん、ありがとう。」
マーフィスは優しい。甲斐甲斐しくお世話をしてくれるし、いつだって守ってくれる。
「愛してるよ、ミア。ずっと仲良くやっていこうな。それと、たくさん家族も増やそうな。アリオンに負けないくらいに。」
勝ち負けの問題ではないと思う。
そんな話しをしていたなと思い出したのは、町中をマーフィスと散歩していた時のこと。
店から出て来たのは、サーファスさん。そして、そのサーファスさんの腕に絡みついているのはイケオジだった。マーフィスが何とも言えない顔をしていた理由が分かった。
「おや、マーフィスにミア。久しぶりですね。ミアのお腹もだいぶ目立って来ましたね。体調はどうですか?」
「問題ありません。」
「あぁ、そうでした。まだ、紹介してませんでしたね。私の恋人のヨーゼフです。さ、挨拶なさい。」
「ヨーゼフと申します。お二人の噂はよく聞いています。サーファス同様、よろしくお願いします。」
声も顔も渋い。でも、サーファスさんの腕に絡みついていて、違和感が拭えない。しかし、サーファスさんはそんなヨーゼフさんに優しい眼差しを向けている。
うん、思い合っているんだな。二人と分かれ、散歩の続きだ。一度振り返れば、サーファスさんに何かを話し掛けたヨーゼフさん。次の瞬間、往来でキスをした。