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特級錬金術師の旦那様

第19章 世界樹の雫


事情はこうだった。

ギルドの依頼を受けて、あの男の世話をする事になった年若い男ルイス。横柄な態度だったものの、そう大きな問題はなく湯治の世話をしていたそうだ。

予想外な事が起こったのは、後からこの町に来た男の奥方の存在だった。ルイビスを気に入り、主の目を盗んでは言い寄っていたそうだ。最初はバレていなかったものの、とうとうその現場を見られたらしく激怒した主は奥方よりもルイビスに対して折檻を行った。

主はこの国から追放されたが、奥方が追放された訳ではなかった。なので、その後も堂々とルイビスに言い寄ったらしい。余りにも目に余るとのことで、主同様追放されたと聞いた。

その後、お礼にとマーフィスを訪ねて来たのだと教えてくれた。引き攣った背は綺麗に治り、仕事も問題なく続けられると言っていたそうだ。

「国では年若い男を侍らせていたそうだ。主に隠れてな。」

奥方の年齢は四十代半ばというところだろう。随分、お盛んである。そして、意外にも主はそんな奥方にゾッコンだったらしい。

「奥方は国に帰って、どうなるんだろう?」
「さぁ、男女の仲は当事者じゃないと分からない。」
「そうだね。私は真似出来ないし、したいとも思わないなぁ。」
「同感だ。」
「良かった、マーフィスが浮気者じゃなくて。」
「俺には最愛がいるから余所見もしないし、必要も感じない。ミアはどうなんだ?」
「マーフィスしか要らないよ。」
「そうか。」

そう言って微笑むマーフィスの頬に、触れるだけのキスをしておいた。

「あ、でもね?このキスマークは付き過ぎだと思うの。」
「数日は子作り続けるつもりだし、家から出すつもりもないから問題ないだろ。」

それを人は監禁というのでは?

「それに、俺も似た様なものだからな。」

ボタンを外し、身体を晒したマーフィス。

「えっと・・・これを私が?」
「他に誰がいるって?」
「ごめんなさい・・・。」
「謝る必要はないが、俺も外には出られない。」

そこで気付く。耳の後ろや鎖骨に襟足にも無数の痣。

「ねぇ、それ・・・見られたってこと?」
「あぁ。別に俺は気にしない。ただ、このまま町を歩けば良からぬ輩が出て来そうだからな。女も男も関係なく。って事で、数日は自宅待機だ。」
「自宅待機・・・。大人しくしてます。」






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