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特級錬金術師の旦那様

第19章 世界樹の雫


マーフィスに案内された場所は、そう大きくはないコテージ風の建物。同じ様な建物が幾つも建っている。

「ここは?」
「温泉だ。個人仕様になってる。」
「温泉?」

つまり、湯治?建物に入るなり、マーフィスは手際よく自身と私の服を脱がせかけ流しになっている浴槽に入った。何となく気分もスッキリする。

「癒されるだろ?」
「うん。連れて来てくれてありがとう。」

見上げれば、窓越しに世界樹の大木が見える。心なしか、空気も心地いい。

「ミアの身体って・・・綺麗だよな。」

急に忘れていた羞恥心が爆速で戻って来た気分になった。そう言えば、お互いに裸体だ。それに無色透明のこの湯は、視界もバッチリ。

「どうして隠す?こんなに綺麗なのに。」
「マ、マーフィスは自分の身体に自信があるかもしれないけど、私はそんな事を言って貰えるほど・・・マーフィス!?」

いきなり浮かんだ身体は、マーフィスの上に乗せられた。

「ミアの身体は綺麗だ。誇っていい。」
「あ、ありがとう。」

でも、そんな凝視されるのは凄く恥ずかしい。

「でも・・・それはそれで問題だな。」
「えっ?問題?」
「所かまわず押し倒したくなるだろ?まぁ、出来る限り自重するけど。・・・理性って、何かの切っ掛けで取っ払われるかもしれないもんな。ああ・・・ミアを食べたい。」

えっと・・・心の声が駄々洩れですが?

「ミアはいいからな?」
「いいって?」
「自重なんかしなくて。俺の身体、好きだろ?だから、いつでも望めば俺の身体を好きにしていいから。むしろ・・・毎日でもいい。」

だから、心の声が・・・。

「ここを出たら、俺の養祖父の町【カゲロウ」】だ。」
「どんな町なの?」
「発展してる。秩序もあって、皆が自由を満喫してる。だから、住人になりたいと乞う輩も多い。でも、ああ見えて閉鎖的な町なんだ。」
「錬金術の力を悪用されないように?」
「その通りだ。ミアは鋭いな。錬金術師の中には、腕っぷしのいいのもいるし、作った物を使って何とか町を守っている。その頭領が、俺の養祖父だ。」

そう、実の身内ではない。そう言っていた。

「サーファスさんがいる町とはどうなの?」
「お互いに切磋琢磨してる。それに、養祖父は前期のアルケミアの理事長だ。もういい歳なんだが、誰よりもパワフルだ。まぁ、会えば分かる。」

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