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特級錬金術師の旦那様

第18章 世界樹の町


「綺麗・・・。」
「気に入ると思った。これも何かに使うか。楽しみにしててくれ。あ・・・。」

マーフィスが、何かに気付いた様だ。私は怖くて振り返れない。

「マ、マーフィスっ・・・。」
「あぁ、そう泣きそうな顔をするな。ちょっと大きい鹿がいるだけだ。でも、ミアは怖がるだろうからそのまま俺にくっついていろ。」
「うん・・・。」

マーフィスは魔法を唱え、ザシュッと何かが切れる音がしてから鈍く重そうな音が聞こえた。恐る恐る振り返ると、確かに大きな鹿だった。角は珊瑚の様なピンク色で、身体はこれまた珊瑚色の毛並みだった。あ、ズタ袋が現れた。

「マーフィス、もう帰りたい。」
「ミアには刺激が強すぎたな。ドロップ品だけ拾ったら、帰るとするか。」

恐怖でどうもさっきから身体の震えが止まらない私。最後のドロップ品は、サンゴのツノだった。ピカピカして綺麗だ。でも、もう私は気を失いそうでマーフィスにしがみついたまま離れられなかった。

やっとの思いで町に戻り、冒険ギルドへと赴く。精神的にへとへとになった私は、マーフィスに抱きかかえられたまま。今の私には羞恥などなかった。

「何処かお怪我でもされたのですか?」

青い顔をして駆け寄って来たのは、コーノスだった。

「俺がいるのに、ミアに怪我なんかさせる訳がないだろ。ちょっと疲れただけだ。そこそこの魔物が出たからな。」

そこそこと言いつつ、マーフィスはピンピンしているのだけど。そしてマーフィスは、ドロップ品を売りクエストも報告した。

「全部、売っちゃったの?」
「あぁ、家に同じ物があるからな。」
「そうなの?」
「あぁ。それに、前のドロップ品の方が良いものだから、そっちの方で何か作ってやるよ。」
「そういう意味で言ったんじゃ・・・。コーノスさんだって、凄く驚いてたじゃない。あのドロップ品。」
「まぁ、そうだろうな。普通なら、徒歩で向かえば数日は掛かる場所だからな。そんな事より、クエストが達成出来て良かった。これで、三ヶ月はクエスト受けなくても問題ない。まぁ、今後の為に何かいいクエストがあれば受ければいい程度に思っておけばいい。」

展開が早すぎて、ついていけてない。どうしていいかもわからないし、マーフィスに言われた通りにしておこう。
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