第18章 世界樹の町
「ねぇ、マーフィス。コーノスさんに私を優遇するように言ったの?」
「あぁ、あの人から聞いたのか。言葉通りの意味だ。」
「言葉通りって、怖いことじゃないよね?」
「俺がミアに怖い思いなんかさせる訳ないだろう?」
詳しくは話してはくれなかったけれど、その意味は直ぐに分かった。私たちが家で寛いでいると、訪ねて来たのはギルドの職員だった。何やら、一枚の紙を持っている。
マーフィスが対応しては、私にその紙を見せてくれた。
「えっと・・・薬草採取のクエスト?これを達成したら、ギルドランクが上がるのね。」
「そう難しいクエストじゃないが、ギルドランクが他のクエストより安易に上げられるから人気があるんだ。もしもの為に、ミアの身分証を得ようと思ってな?」
私は冒険ギルドに登録し、クエストを受けることになった。Eランクに上がれば、三ヶ月に一度何かしらのクエストを受ければ身分証としてギルド証を保持できる。
「もしもってだけだからな?他意はないから。」
「うん、有難うマーフィス。えっと・・・因みに、この薬草って何処にあるの?」
「畑にあるけど、俺ももう少し欲しいから一緒に探しに行く。何も心配しなくていいから。」
そう言っていたのだけど・・・確かに、心配は・・・嫌、心配するよっ!!!今、私だけは絨毯に乗って空に浮かんでいる。世界樹を囲む森の奥には、獰猛な魔物が多く生息しているらしい。
そして今、絨毯の下ではマーフィスが戦闘を繰り広げている。二mは越えた熊みたいな魔物を簡単に撃退したマーフィスは、笑顔で私に向かって手を振った。
マーフィスの元に降り立ち、マーフィスの身体を気遣う。でも、怪我などは何処にも見当たらなかった。
「心配したんだから。いきなり絨毯から飛び降りて、あんな大きな魔物と戦うなんて。」
涙目の私を優しい目をして、頭を撫でるマーフィス。
「有難うな、心配してくれて。でも、大丈夫だから。過信も慢心もしないから。それに、この近くなんだ。群生地があるのは。」
「群生地?って、あの薬草の?」
あんな恐ろしい魔物がいる様な場所にある群生地って・・・そりゃあ、ランクも上げてくれるかもしれない。だって、あちこちで鳥や獣の鳴き声や唸り声が聞こえるのだもの。
「ほら、こっちだ。」
マーフィスに手を引かれ、付いて行く。