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D.World.

第6章 整理







それは貴方じゃないよと腕の中で笑いながら言う。

「そうじゃない。お前に撃ってと言われて撃った時だ。」


普段タラレバは考えたりしない。
ただ、話を聞かされた後では想像は容易い。

“撃って”はどんな気持ちで言ったんだ。

いつもの真っ直ぐな眼をして



「私は“自分の運命から逃げない”

時間の強制力まで私は舵なんてとれない。

でも時間は、私の意志までは舵を取れない。」



…ああ。今、きっと真っ直ぐ何処かを見ているんだろうな。



「…お前に、頼みがある。」

「なに?」

「…甘えてくれ。」


そうは言ったものの、反論されそうだなと思った。最初は頼ったとか自分の面倒は見て貰ってるからとか日本人特有の断り方で



「…じゃぁ、」


意外だな。断らないのか。


「…腕緩めて。結構苦しい。」

「…」

いつの間にか入っていた腕の力を緩めると
ふうっとため息を吐いた。

「あと、少しこのままで。
  赤井さん暖かい。」

身体を預けてきて、眠そうにした。
空いてる手で口元を押さえてどうしたものかと考えた。


「頼れる人、信じられる人は
  頼るし、信じる。」


さっきまで眠そうにしてたかと思えば


「それはいつでも“無条件”だ。」


そうやって、また真っ直ぐな眼をする。


ーーーその眼を、疑わずに居よう
“無条件”でな…ーー



暫くして彼女の道具を片付け
夕飯を一緒に食べて
風呂をそれぞれに済ませた。


俺が1人用のソファに座り、煙草を出そうとした時彼女は話しかけてきた。


「…貰っても?」

何も言わずただパッケージから出た煙草を彼女に向けると、それを一本取った。

マッチを擦り自分の口元に持っていくと髪を耳に掛けながら彼女の顔が近付いて、その姿が艶めかしくて。

一瞬だけ近付ける手を止めてしまった。

互いに同じ火元で息を吸い煙草に火をつける。






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