第5章 “悪夢”
港へ辿り着くとそこには既にジェイムズ、ジョディ、キャメルが居た。
「FBIに承認保護を要請する。出来なければ他の治安維持局に引き渡しても構わない。」
突然声をかけたせいで一瞬戦闘態勢を取られたがジェイムズがジョディの肩に手を置き、横に首を振った。
「とにかく今は彼女の手当が優先よ。」
「駄目だッ、今直ぐ結論を。」
ジョディが近付こうとした為
今まで誰の前でも出した事のない
荒々しい声が出た。
ジェイムズを真っ直ぐ見据える。
「…赤井くんがね、言ったんだよ。
“君がその眼をする時は彼女に従ってやれ”
とね。今直ぐ保護を要請する。安心してくれ。」
「よかった。そこに着けてる船に“必要なモノは全部ある”彼女を渡したら貴方はすぐ立ち去って。」
彼女の身体をキャメルに預けながら指示を出した。
私はその倉庫に置かれた荷物を探し出し、小脇に抱えて港の船が見える位置に戻ろうと歩み出した。
ジョディが私を呼び止めるために、手首を掴もうと手を伸ばすが、私はそれを交わした。
「……どうして、そんな行動が取れるの…まるで、知っているみたいな…」
「…今のは私が君の立場だったらどうするかどう思うかを考えて先に行動しているだけだ。ただ察しているだけだ。」
「…なら、あの船の用意は何?貴方は、どうして」
答えられそうにない質問を投げかけられて
話せたら楽、その後頼られなければ楽、そんな風に思う自分に
自分を守るために楽になれる方法を探している事を自覚して、人である事に良さも嫌悪感も抱いた。
「私の行動1つに理由を求める必要なんて無い。あなたにはそれを聞く時間もない。」
「ジョディくん。行くぞ。観覧車を止めたあの重機から遺体が発見された。」
何かを言いたそうにしていたが、結局彼等はその場を後にした。
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