第5章 “悪夢”
港で夜風に当たっていると
船の上から1人が携帯に何かを打ち込み
こちらに投げてきた。
『一命を取り留めたよ。彼女はこのまま向こうで預かる。』
私はそれを見て安堵したが、この状況では不都合になると困る不安は拭えない。
『早く行け』
それだけ打ち込むと
船のどこに当たって壊れようが
構わないというように、その人が
居ない方向に思いっきり投げた。
慌てる彼が見えるけど、それでもしっかり携帯を受け取ると大きく手を振ってきた。
船が出港し、陸から大分離れた頃
「此処にいらしたんですね。探しましたよ。」
沖矢さんが現れ、赤井さんでは無くなっていて時間がかかった理由を察した。
彼の車に乗り込み、運転して貰っていると眠気に襲われた。
「動き過ぎた。2度超えたとはいえ体力はもう無い。」
「2度?…帰って落ち着いたら一度整理しましょう。今は眠って下さい。」
沖矢さんの大きな手が髪を優しく撫で、促されながら眠りについた。
5章🔚
.