第5章 “悪夢”
爆風と共に、アンクレットのワイヤーが私を観覧車内部に引き込んでいく
途中で彼と目を合わせ名前を呼ぶ
「赤井さん」
観覧車内部の硬い部分に足を付き阿笠博士のシューズを起動する。
ーー衝撃吸収シューズは吸収した衝撃を排出する事もできるーーー
反動で身体を今度は観覧車の外に
向かわせながら
赤井さんを真っ直ぐ見て
「 撃って 」
短く言った。
それを合図に赤井さんはライフルを構える。
鈍い音と共に放たれた弾丸は
私の身体の上を通り、ローターを撃ち抜いた。
私は着弾した事を見上げながら
そのまま地面へ落ちて行き
硬い地面に叩きつけられた。
痛みはあるが今の私の身体に外傷はない。
直ぐに起き上がり砂埃が立ち込める辺りから重機をスタンバイさせた位置に戻った。
車内に入り込むと足音が強くなるのが聞こえる。
やがてその足音はドアを強く開け飛び乗ると同時にドアを閉め重機を発進させた。
荒い運転だが彼女の状態を考えれば致し方無い。
止まれと叫ぶ彼女が思いっきりアクセルを踏んだ事を確認すると
直ぐにアクセスを固定させ、歪みかけたドアを開け彼女を抱え出した。
ドアを閉め、そのまま彼女に肩を貸して港に向かった。
後ろ手に観覧車が重機を潰す音と、燃え盛る炎の熱を感じたが振り返らず進んだ。
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