第5章 “悪夢”
大きな機体に乗り込み後から合流したスナイパー2人とジンが何か話していて、その後ろにウォッカ。
ベルモットは機体後方の位置でタブレットを操作していた。
「あの」
ベルモットに話しかけた。
「銃下ろしてもらえます?見慣れていて
怯える事も出来ないので。それに、」
一度言葉を暫く詰まらせるとベルモットは首を傾げた。
「 撃針が無い状態では撃てないぞ 」
手の中から撃針を取り出して見せるとベルモットは固まった。
「私は“エンジェルを護る側“でいる。」
そのまま言葉を続けると彼女の目は動揺に満ちてきた。
「信じないのは勝手だが“貴方を救う事に理由は必要無い”それは変わらない。」
ベルモットに話して思い出した。
自分が何に悩み苦しんでいたか。
それにだって、理由は必要無かった。
「死にゆく奴らのことなんざ興味ねえよ」
ジンの台詞が耳に入った。
「コイツはどうしますか」
「捨てとけ。此処から落ちれば不運な客だと思われるだろうよ。」
ウォッカは私をヘリから投げるように捨てた。
そこからはまた、全てがスローモーションになったように見えた。
背後から近付く爆弾が入った袋と
そのずっと後ろにある観覧車内部に向けて
ブレスレットとアンクレットのワイヤーを飛ばす。
両方がそれぞれの位置で当たった事を感じ取ると
背筋、身体全体をバネの様に使い、爆薬入りの袋をもっとローターが見やすい位置に移動させた。
ヘリの内部からは逆光で私がやった事など見える事はないだろう。
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