第5章 “悪夢”
「ッーーー!」
FBIの特別施設から戻って工藤邸で眠った後どうなったのかを思い出そうとしたがその時、
はっきりと目が覚める程の頭痛に襲われた。
胸の奥で締め付けられる様な息苦しさを感じてふわふわとした意識の中に置かれる。
現実と幻覚に混濁するような感覚に襲われたままベッドから落ちた。
“どこ”だ此処は
息が整わないまま苦しみに耐えながらでも今が“いつ”なのかを気にしている。
くっ…そッ
肩で息をしていたのを一度止め、大きく吸ってはまた止めるを繰り返すが痛みと苦しさに耐えられそうにない。
そのまま覚束無い足で部屋を出て階段をゆっくり降りようとするが、踏み外して転がり落ちた。
他の痛みが増えるが今となっては殆ど大差が無い。
身体を無理矢理起こしてキッチンに向かう。
水を溜めてタオルを頭の後ろに回す。
そのまま水が溜まった場所へ自ら頭を埋めた。
タオルを水の中に押し込んで苦しさに抗いながら、そのタオルをずっと奥へ引っ張っり続ける。
完全に息が出来ない状況に飲みたくもない水を飲み
息苦しさが限界を迎えた頃、水の奥へ引っ張っていたタオルを掴む手を放す。
水から頭を上げ、一気に息を吸って
飲み込んでしまった水を今度は吐き出して喉に残る異変に咽せ返った。
溜めた水を捨て、新しい水で口を濯いで俯いたまま肩で息をする。
漸く、まともに視界が整い始めた頃
いつから見られていたのか安室透とマスクをつけた沖矢昴が見ているのに気付いて
今“どこ”にいるのかを察した。
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