第1章 手順
赤井said
彼女を待っている間、ジェイムズに今の状態を伝え、保護した女性の身分証を作って欲しいと伝えた。ジェイムズはすんなり了承し準備が出来次第連絡してくれるそうだ。
程なくして彼女が帰ってきた。
助手席へ乗り込む彼女を眺めていると何も持ってはいない様に見える。先程見えた男の子はどうしたんだと聞くと
「言えない。」
と短く返された。
だが言えないと言ったのにも関わらず直ぐに彼女は口を開いた
「彼は大丈夫。私が今必要としている物を用意してくれるだけ。」
そうか。とこちらも短く返して次はどこに行くかを尋ねた。
「次は毛利探偵事務所。」
車を出そうと動かしだすと彼女が行き先を伝えてきた。
「了解。」
主人公said
その了解って声いいよなと思いながら、彼に会えるか半信半疑で赤井さんに向かってもらった。なんせ直ぐ事件に巻き込まれるし死体見つけるしどこかに出掛けてしまうしそれ以外にも気がかりな事がある。
「赤井さん。毛利探偵事務所に近付いたら3ブロック手前位で降ろして。」
「構わんぞ。それからお前にこれをやろう。」
携帯を手渡される。受け取り、眺めていると赤井さんが続けた。
「お前は携帯を持っているのにも関わらずパスワードの画面を開こうとしない。開けられない可能性も考えたがそれは無いだろう。自分の情報が詰まった物だ手放すわけにもいくまい。それと俺の連絡先を入れてある。何かあればかけてこい。もう一つ、今日はここに泊まると良い。」
さっきまで口数が少ない人だと思っていたのに次々に話し始めて彼の優秀さを実感し始める。
「まだあるぞ、保護の件を頼んだ。身分証が出来次第渡してやる。」
正直、ここまで期待はしていなかったが自分がどれだけ恵まれた瞬間かを実感した。
車を脇に寄せ、赤井さんが車を停めた。
「着いたぞ3ブロック手前だ。」
そっちに行けという事なのか、指をさしてくれた。
赤井さんに向き直り、これまでに無く丁寧にお辞儀をした。
意外だったのかこちらを見ている。
「赤井さん、言えないことは多いけど1つだけ。ここより先、この車では近づかない様に。」
「それはどういう」
「“面倒”を極力減らしたい。」
じゃ、また後で。と言いドアを閉め指さされた方向へ歩いた。
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