第4章 螺旋
翌朝、メインフロアで朝食をとり終えると
博士のビートルに乗り込み、外に出る。
既に待っていたようで、沖矢さんが博士と
運転を交代すると言い運転席に乗り込んでいた。
私は哀ちゃんと後部座席で、哀ちゃんによって尋問を開始されていた。
「街中でカーチェイスしたって昨日、言ってたわよね?」
コナンくんの台詞を思い出して私は
余計な事を言ってくれたなと思った。
「た、楽しくなってしまいまして。」
一応本心を告げると哀ちゃんの眉がピクリと動く。
怒りの圧に私の口からは次の言葉が発せられる。
「強盗の人に後ろから脅されてねっ?」
「なんでその状況で楽しいのよ!」
矛盾している発言にすかさず怒られる。
私が言いたいのはチェイス相手が
降谷零だったからだけど、表沙汰ってはおそらく警察と、
となっているだろう。なら、それは言えない。
その所為で哀ちゃんの尋問にどんどん追い込まれる。
「みっ、未経験だからっ?」
明らかに可笑しい私の発言に博士は肩を振るわせ、ミラー越しに見える沖矢さんの口元は上へ上がったまま下がらない。
この2人は相手が誰か気付いている可能性があるか、
私がカーチェイス好きだと思っているだろう。
「ったく!」
腕も脚も組んで怒っている哀ちゃんを見て思わず、
「今も楽しい。未経験だから」
と本音を笑って言うと哀ちゃんには
「なっ!怒られているって事、自覚して!」
更に怒られた。
「それに私は何度も貴方に怒ってるわ!」
そうでした。と思ったが、
多分この“未経験”は
“姉の世話を焼く妹ができた様な感覚”
の事を指していたんだろうと自覚して、
それを口に出したら哀ちゃんはきっと
悲しくなるだろうから言えなくて。
関係ない話題を振る必要を感じた。
「そういえば、何か欲しいものでもあったの?」
哀ちゃんに尋ねるとちょっとね、とはぐらかされた。
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