第4章 螺旋
「彼女は帰るとは言わずに出ていかれました。預かっている身としては安否を確認する必要がありましたよ。」
沖矢の声で返事をすると、いつ気絶するかも分からないものねと言われ少女の凜とした姿を眺めた。
主人公said
「…折角そこにいらっしゃるんでしたらタオル取っていただけます?」
口から普段使わないような敬語が出ている事に気付いて少し恥ずかしくなった。
それは、見られた事を自覚したという事ーーー
そんな事を考えたら頬が赤くなった事に気付いた。
ドアの隙間からタオルを手渡して貰うとその手は哀ちゃんのものだった。安堵してその手からタオル受け取る。
「お風呂出たら行きたいところがあるって沖矢さんに伝えて貰ってもいい?連れて行って欲しいわけじゃなくて、行ってくるって意味で。」
「…わかったわ。」
沖矢said
脱衣場の方から話し声を聞きながらメインフロアに戻ると玄関からボウヤが現れた。
「博士、お姉さんいる?」
「今はお風呂ですよ。」
阿笠さんが答えるよりも先に答えるとボウヤは目が覚めたんだねよかったと安堵した様子を見せた。
「じゃ、ボク帰るね。」
ボウヤの言った“帰る”は恐らく工藤邸で話したいという事だろう。でなければ今来たばかりでそれは言わない。
「では、僕も戻りますね。」
阿笠博士にお邪魔しましたと伝えて工藤邸に戻った。
主人公said
風呂を出て着替えていると哀ちゃんが話しかけてきた。
「ねぇ、どこに行くの?」
「…ここより少し離れた場所だけど、都内には居るよ。どうしたの?」
私の返事を聞いた哀ちゃんは少し考えるような仕草をする。
ーーいつも、見たことのない話の
流れに不安になるーーー
身長に合わせるようにしゃがんでみると彼女の視線より低くなってしまった。
見上げるようにして見つめると哀ちゃんが丸い目をしている。
「どーしたの?」
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