第4章 螺旋
主人公said
「普通に…朝…。」
昨日ソファで寝た後、少しして起こされた。
何度もベッドから起きあがろうとしては気絶していた事を聞かされ、客観的に見てたら面白いなと思ったが、それが自分だと腑に落ちない。
赤井さんが沖矢さんの姿で蹴り倒されるシーンを思い出して、そういう事だろうと笑っていると言葉に出していないのに察したのか、酔っているのか分からなかったが一瞬で再び気絶…
…いや、あれは赤井さんに眠らされたんだな。
昨日のことを思い出しながらソファから窓の外を眺めた。
普通に寝て、起きて、朝日を見たのは大分久しぶりな気がした。
ーー…、“普通に寝た”訳では無いなーー
阿笠邸に戻り、哀ちゃんと博士と軽く話して風呂に向かった。
風呂の温度に眠くなっているとバタバタと足音が聞こえた。何だろうと思ったが眠気が勝る。
突然室内の気圧が変わったのを感じて目が覚めた。
反射的にドアの方を見ると沖矢さんが立っている。
血相変えてーーー
「なん、で」
「…。」
何も言わず沖矢さんはドアを閉めた。
…えぇぇ、見たって態度は良いけど謝れ。
声には出さず心の中で恥ずかしくも文句は言った。だが何も言わずに出てきた事でこうなったのかとすぐに察しはついた。
まぁいい。そういう興味は無いだろ。
特にお互いそんなに気にしていない事を考えた。
赤井said
昨夜、嘲笑われている気がしてそれが癇に障った。
足音を立てずに近付いて首の後ろに強い衝撃を与えるとあっさり眠りに落ちた。
朝には気付くだろうが、この程度は自業自得だろう。彼女をそのままそこで眠らせた。
翌朝になって沖矢の顔でそのソファに向かう迄は。
いない事に気付いて直ぐに通話を押したが出る気配はない。
とりあえず阿笠博士の所に行っている可能性を考えて真っ先に向かう。
「博士、彼女は?」
「ん?ああ、来ているよ。今お風呂に」
それを聞いて真っ直ぐ向かうと明かりはついているが音が聞こえないーーーー
「!」
寝かかっていただろう顔を一瞬見て、普段の白い肌が血行が良くなってピンク色に色付いている。濡れた髪が胸元に向かって降り、喉元には雫が流れ落ちた。驚いた顔を見て今自分が何をしたかを理解して、表情を変えずに扉を閉めた。
「…変態。」
少女の冷たい声が後ろから当てられた。
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