第3章 跳躍
ステージ上に行き各々の調整をする。ドラムの子だけは調整をしてあげると覚えようと真剣な目をしてくれた。
ステージ中央に行き、マイクの高さを調整し終えるとステージが明るく照らされる。
ドラムの子が訳あって今日は臨時で入った私と演奏する事やもとのメンバーがいない事を謝ったりした。
「とにかく!1曲目!いきます」
その声を合図に証明の色が変わる。
前奏を流し始めているとある感覚が沸々と湧き上がってきた。
ーーーーーーー
突然消える姿に もう視たくないや嫌
君の気持ちなんて知らない
落ち着かないのをダレの“所為”に
すりゃ良いんだよ
全部自分の“所為” 知ってる
ーーーーシャツのボタンに手をかけ
ネクタイを緩めるーーーー
息が出来ない
ーーーこの感覚はーーーーー
繰り返す事に
めまいが襲って 私は“ドコ”に行く
何度も 何度も 時を超えようとして
変だね 戻れる場所は “”チガウ“”
気付いてと叫ぶ 誰もが気付かない
消えてしまいたいんだと
誰にも聞こえない声 叫んでも
甘えなんて私には 要らない
ーーーー知ってるーーーーー
“自分だけじゃないんだ”って
前だけを見ている 常に
ーーーーーーー
曲が終わり、さっきのはなんだったんだろうと思って息を整えながらぼーっとしていると
突然歓声が響き渡った。
あ、それ、よく無いな。
バタンッ
思ったのも束の間、さっきの苦しさは
コレだったのかと思たが遅過ぎて。
私はステージ上で倒れたらしく次に目が覚めた時は
すでに阿笠邸の天井が見えた。
「…。」
哀ちゃんがじっとっとした目で私を見下ろしている。
なんとなく言いたい事の想像がつく。
身体を起こすと哀ちゃんが口を開いた。
「何回運ばれて帰ってくる気?」
「全くワカリマセン。」
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